高血圧

1. 高血圧に対処する各種ヒント

高血圧を考える時、心臓をポンプ、血を水、血管をホースと考えると、高血圧発症の仕組みがわかりやすいものです。
人体でいう「高血圧」とは、この例えで言えば、ホースの内圧が高まっている状態です。
日常の経験に照らすと、このような状態は、どのような時に起きるものでしょうか?

一番は、散水する時に、ホースの先を指先で絞った時でしょう。遠くまで水を飛ばそうとして、指先に力を込めると、蛇口からホースが外れたり、ホースが膨らんだりするものです。
つまりこれが「高血圧」なのです。

このように、高血圧の背景には、流れようとする血液量に比べて、血管が通す血流が限られている時に生じるものです。
ここまで見てくると、人間の血圧も、これを下げるためにはどうしたら良いか、はっきりと見えてくるものです。
それは、
1)血流抵抗を減らす(特に抹消血管)
2)血管を広げる
3)血液の量を減らす
です。

例えば、寒い季節になると血圧が上昇します。
血圧が高く、循環器系に問題がある方は、お風呂の脱衣場や、トイレも温めた方が良いと、良く言われます。
これは、上記2)の部分が関連しています。また、緊張すると、血管は収縮しますので、通称「白衣高血圧」と呼ばれるタイプも、これに関係しています。
このことを考えれば、日常でも、さまざまな工夫が出来るものです。

血管を広げること。それには、居住空間を暖房するのはもちろん、マフラーやスカーフを常用することで、体内に「寒」が入るのを防ぐことが出来ます。
また、食事も極力温かくして摂取するという工夫もできます。また、複式呼吸やストレッチで、ストレスを除くのも一法となります。

また、3)に関して考えると、減塩を心がけるという誰でも知っている対処法が関係あります。
塩分(ナトリウム)が過多になりますと、これを水分で薄めるため、血液の量が増えます。塩分の摂取を控えると、血液の量を適正にコントロール出来、その面から高血圧を防ぐことが出来ます。
また、これを別に考えれば、この塩分(ナトリウム)を、体外に排出するのを促進する方法も有効だと分かります。
これは、カリウムや、カルシウムです。また、ペクチンなどの水溶性の食物繊維も有効です。
このため、小魚を骨まで食べて、食後にリンゴを食べる。また、食事に海草やキノコを多く取り入れるいうのも工夫です。
このように、自分の体の中に、ポンプとホースがあると考えれば、日常でも出来るいろいろな工夫に気が付くものです。
医師から処方されている「降圧剤」を服用するのが直接的な対処法ですが、上記のような注意をするのとしないのでは、やはり長期的には結果がかなり異なってくるのではないでしょうか。

ここまでは、人体を機械のようにとらえて、考えてみました。では、漢方医学ではどのように「高血圧」を考えるのでしょう。

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2. 「気は血の帥(すい)たり」

西洋医学では、血液は、血管中を心臓の拍出力によって押し流されていると考えますが、漢方では少々異なります。
漢方では、「血」のめぐりは、「気」のめぐりに従うと考えます。
これを、「気は血の帥(すい)たり」と表現しています。
従って、いくら心臓が動いていても、「気」が通わないところには、「血」も通わないのです。
全身的に、「気」のめぐりが悪くなれば、そのために、全身的に「血」のめぐりも悪くなります。これが高血圧と関係するのは、前記の1)のとおりです。
例えば大きなストレスを急激に受けると「気」が鬱結し、循環器系の発作を起こす危険が高まるのです。
肉親が亡くなったり、災害で、家屋や財産を失ったりした場合などです。
逆に、日ごろ血圧の高い方でも、夕食後のリラックスした時間にお部屋を温めて、充分に複式呼吸を行った後、呼吸を整えながら測定すると、血圧は想像以上に下がっていることが多いものです。

高血圧に対処しようとする場合、前記のようなホース云々といった各種対策以前に、漢方では「気」の巡りについて考えることが基本です。

『気滞血瘀』(きたいけつお)

このように、高血圧をもたらす「血の滞り」とその原因である「気の滞り」を、漢方では、合わせて「気滞血瘀」と呼びます。 「気滞」(気の渋滞)がある場合、「理気」(りき)(=「気」の流れを正常化する)作用のある漢方薬が用いられ、「血瘀」(けつお)については、「活血」(かっけつ)(= 「血」の流れを改善する)作用のある漢方薬が適宜併用されます。

また漢方では、漢方薬の服用に限らず、呼吸法や、鍼灸なども「気滞血瘀」を改善させるのに活用されます。
 
現在、東日本大震災の影響で、多くの方が過剰なストレスの下にあると思われます。しかし、前に進むとしても、意識して「気の巡り」を管理し、無理の無い中で頑張られる事を申し上げたいと思います。

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3. 低血圧の人は要注意?

今、血圧が低くても、血液の循環の悪い「冷え症」タイプの人では、過労やストレスなどがきっかけで、急激に血圧が上がる事が往々にしてあります。それは、低血圧体質は少なからず血液の循環が悪い体質と相通じるからです。上記1)や2)の体質の方が多いのです。
そこで、常日ごろから血液の循環を改善しておけば、血圧が急激に変動する危険性も減ります。
日常生活に、基本的な運動やストレッチを組み入れることをおすすめ致します。
 
漢方の考えと、西洋医学の考え、両者を取り混ぜてより良い血圧管理を工夫してみてはいかがでしょうか。

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