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膝関節水腫 
変形性膝関節症
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ひざに水がたまるという症状は、「変形性膝関節症」や「関節リウマチ」など基礎疾患があって、その症状のひとつとして現われて来ます。
ひざの可動範囲が狭まり、正座が出来なくなったり、痛みが慢性化したりします。
西洋医学では、通常、穿刺して、たまったリンパ液を排出したり、リンパ液の滲出の原因となる炎症を、薬の服用や、患部への薬剤の注入などで抑制したりします。
もともと、西洋医学は、人体を機械のように認識していますが、ひざは、人体の中でも、機械的、物理的な理解がしやすい場所だと言えます。このため、この「膝関節水腫」に対する西洋医学の対応は、理解が容易である上、至極もっともなことと思われます。
しかしながら一方で、この「ひざに水がたまる」症状は、西洋医学をもってしても、再発しやすく、根治は容易なことではありません。
では、この症状に対して漢方医学はどのようなアプローチをとっているのでしょうか?
漢方医学が、また異なった方向から有効な方策を提示出来るなら、それぞれの療法を併用することで、更に効果的な改善を図れるのではないでしょうか。
西洋医学で一般に行われている治療法
(変形性膝関節症の場合)
1)たまった水を抜く
2)ひざの炎症を抑える。
薬剤内服
薬剤外用(湿布・軟膏等)
薬剤注入
3)炎症の元となる原因を除去する。
体重を減らし膝への負担を軽くする。
筋力をアップさせ膝への負担を軽くする。(筋力トレーニング)
骨盤を中心とする骨格のゆがみを矯正する。
骨密度を上げる(骨粗鬆症への対処)
患部への栄養補給を促し、劣化した組織の修復を促進する。(血流促進、体操、慢性化した症状に温熱療法)
4)その他、手術など
では、次には、漢方医学でのアプローチについて説明してみましょう。
① 「腎虚」(じんきょ)
たとえば、植物であっても、長年の風雪に耐え、数百年を生き抜く大木もあれば、芽生えてわずかのうちに枯れてしまう若葉もあることでしょう。
数百年の年月にも耐えて生き延びた大木は、強運である一方、環境に適合した種でもあり、遺伝的にも優れた個体であったとも言えるでしょう。
しかし、その幸運な大木も、最後には必ず「根」が弱って来て、朽ち倒れることになります。
この植物の「根」のように、人間の場合でも、寄る年波で必ず弱ってくる部分があります。
それを、漢方で「腎」と呼びます。
この「腎」が弱ってくることを、「腎虚」と呼び、代表的な自覚症状は、「下半身」(足腰)の弱りや、骨がもろくなることです。
木と同じように、人間も土台から弱ってくるのです。
西洋医学的には、「変形性膝関節症」の原因について、「骨粗鬆症」や、筋力の低下、軟骨の磨耗など、さまざまな現象を挙げることが可能でしょう。
しかし、実際、「変形性膝関節症」といわれる方のほとんどが高齢の方です。
漢方では、基本的に、この症状が起こる背景に上記の「腎虚」を考え、これに関連するさまざまな見解を用いて対処していこうとするのです。
西洋医学で考える「骨粗鬆症」などの問題は、漢方では、この「腎虚」というキーワードを軸に扱われています。なぜなら、漢方では、骨は「腎」の支配下にあるからです。
薬は、「腎」の「陰気」を補うお薬が基本で、場合によっては更に、「腎」の「陽気」も補う選択をします。
② 「水毒」(すいどく)
また、ひざに水がたまる方によくある傾向に、水余りタイプがあります。
色白で、しっとりとうるおいのあるお肌で、冷え症の傾向にあります。また、からだの中に「水」が余っているので、体重過多の傾向があります。このような状態を「水毒」と呼びます。
この場合は、からだの中の「水」の代謝を正常化することが必要です。漢方で「水」の代謝異常を考える場合、基本的に「脾」、「肺」、「腎」の3つの臓器の異常を考えます。つまり、ひざに水がたまる場合、基本的に「腎」の問題を考えますが、加えて、「脾」(消化機能)と「肺」(呼吸機能)の2つの異常を考えることになります。
ひざに水がたまる方は、一見関係がなさそうに見えますが、胃腸機能(消化機能)には問題がありませんか?また、食事で、胃腸機能を落とすような習慣(冷や水を飲むなど)がありませんか?また、呼吸器関係で問題を起こしていませんか?
こんなところも、ひざの治癒に向けての、ひとつのヒントになります。
③ 「寒痺」(かんひ)---気候などの外部要因を考えます
寒風にあたれば、すべての人がひざに問題を起こすわけではありません。ですから、ひざに水がたまるといっても、上記①②のような、その人が本来かかえている問題が基礎にあるというのは疑いありません。
しかし、実際には、ひざ関節に問題が起こるのは、温かい季節より、寒風に当たる季節に多いのです。この事実を考えれば、治癒へ向けて、環境からの影響も考えなければなりません。
「変形性膝関節症」の方は、多くの場合、冷やすと痛みや症状が悪化します。この寒さが侵入することによって痛みの症状が出ることを、漢方では「寒痺」といいます。
ところで、漢方では、ある病症に外的な要因がからんでいる場合、その要因が体の奥までに侵入して深刻な問題を起こさないように、体の浅い部分にあるうちに外へ押し戻してしまおうという基本的な治療法があります。これを「解表」(かいひょう)といいます。
上でお話した「寒痺」も、「解表」すべき症状のひとつです。
「寒痺」という症状は実は、「寒」(風寒)という外部要因が、身体の内側にまで侵入し始めて、実際に問題を起こし始めたことを意味しています。このため、これを治療せずに放って置けば、さらに内側へと「寒」が侵入することが予想されます。
このように「寒痺」は、放って置けば更に重篤な病症へ発展するという警告でもありますから、痛みを我慢できないからやむを得ず治療をするというのではなく、「解表」することによって早めに対処しておくべき症状とも言えます。
たとえば、ひざの痛みのため体を動かさないでいたら、血糖値が急激に上がってしまったという事もあります。これも間接的ではありますが、外部要因の「邪気」が、どんどん体の内側に入り込んでしまう一例と言えます。
「寒痺」のような体の「表」(おもて=ひょう)に属する症状は、「解表薬」(かいひょうやく)と呼ばれるジャンルの漢方薬で除く事が出来るものです。
風邪(かぜ)の初期も、「解表薬」が有効です。中耳炎にも「解表薬」が有効です。「副鼻腔炎」にも、「花粉症」にも、また多くの関節痛にも「解表薬」が効きます。このように、体の表面や浅い部位の症状で、外部要因がからんでいるケースでは、原則的に「解表」を行います。
「寒痺」や、関節内の滑膜での炎症、リンパ液の滲出なども、この原則に漏れず、「解表」によって対処し、満足のいく結果を得られる事が多いものです。
最後に、補足となりますが、「解表薬」の多くは、「肺」や「脾」の機能を改善するお薬になります。
実は、体の表面(浅い部分も含む。あるいは外部への防衛ライン)を担っているのは、「五臓」のうち、防衛のための「気」すなわち、「衛気」(えき)を発生する「脾」と、これをめぐらす「肺」だからです。
なかでも「脾」、つまり胃腸機能はたいへん重要で、ひざに水がたまった場合でも、食事内容や、食べ方への配慮は、尚更大切になると言えるでしょう。
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