1. 放射能と向かい合う

被曝を減らすための方法については、様々なメディアから情報が提供されています。長袖の着衣やマスク、屋内の清掃や庭の除染方法などです。
しかし一方で、いったん被曝してしまった分を「除去」したり「毒消し」したりするといった情報は意外に乏しいように感じます。
ここ福島およびその周辺では、一定程度の外部/内部被曝を許容しなければ、到底現実の生活を営む事は不可能です。このため被曝量を減らすよう努めるのはもちろんとしても、併せて、いったん被曝した分についても出来る限りの対処をしたいものです。
 
前回に引き続き、この点について考えてみたいと思います。

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2. 最終的な目標は、ガンにならないこと。健康被害を回避すること。

抗酸化物質を摂取して健康を守る

前回は、ガンにならない対策として「活性酸素」の害を減らす「抗酸化物質」に注目しました。
なぜなら、放射線被曝の害といえば、まずはなんと言ってもガンにかかることと言えますし、一般にガンが発生する過程で「活性酸素」が大変重要な働きをしている事も明らかになっているからです。そして、たとえ放射線被曝の場合であっても、同様に、それがガンを引き起こす過程では「活性酸素」が重要な役割を果たしていると分かって来ています。
 
さらに被曝による害はガンだけではなく、実際には、その前段階的なだるさや易疲労感、ちょっとした病気が治らず慢性化するなど様々な健康被害も報告されています。そういった症状についても「抗酸化物質」を通して予防を図っていきたいものです。
 
今回は、それらの「抗酸化物質」について具体例を挙げてみます。
 
以下では、大きく分けて①「フィトケミカル」②「ビタミン」③「ミネラル」④「その他」の各項目に分けて列挙致しました。

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3. ■- 活性酸素を低減する作用(抗酸化作用)を持つとされる物質、食材一覧 -■

①■フィトケミカル(ファイトケミカル)(phytochemical)■
語源:phyto(植物) + chemical(化合物)
「フィトケミカル」とは、食物繊維に続く「第7の栄養素」として最近注目を浴びているもので、植物由来の健康に有用な作用を持つ化合物のことです。その種類は4000以上あるとされます。(ビタミンを除く)
「フィトケミカル」は、さらに細分化し、イ)ポリフェノール群、ロ)カロテノイド群、ハ)硫黄化合物群の3群に分類されます。以下では各群について、抗酸化作用の認められる典型的な成分と食材を列挙しました。
 
イ)フィトケミカル~ポリフェノール群
「ポリフェノール」は植物が紫外線等から自身を守るために持っている物質ですが、人間の体内に入っても抗酸化物質として有効に働きます。フラボノイド類と非フラボノイド類に分かれます。

分類・成分名 食材
フラボノイド類 アントシアニン ブルーベリー、いちご、小豆、黒豆、黒米、紫芋、グレープフルーツ、プルーン、ナスの皮、ぶどうなど
イソフラボン 味噌、納豆、豆腐、高野豆腐、大豆、豆乳、湯葉、油揚げ、おから、きな粉など
フラボノール(ケルセチンなど) ブロッコリー、玉ねぎ(特に外皮)、そば、ニラ、大根、りんご(皮)、紅茶、どくだみ、チョコレート、ココアなど
フラボン セロリ、パセリ、ピーマン、春菊など
カテキン 緑茶、レンコン、赤ワイン、リンゴ、ブルーベリーなど
非フラボノイド類 セサミン・セサミノール ごま、ごま油
クルクミン ウコン( = 宇金・ターメリック)、ショウガ、ガジュツ

ロ)フィトケミカル~カロテノイド群
「カロテノイド」とは、緑黄色野菜や果物に含まれる色素成分の総称です。 分かっているだけでも600種類以上あります。

β-カロテン にんじん、カボチャ、モロヘイヤ、春菊、あしたば、ほうれん草、つるむらさき、大根の葉、かぶの葉、海苔、さつまいもなど
α-カロテン にんじん、カボチャ、サツマイモ、マンゴー、グリンピースなど
ゼアキサンチン/ルテイン クコの実と葉、ほうれん草、卵黄、ブロッコリー、トウモロコシ、キャベツ、パパイヤ、マリーゴールドなど
アスタキサンチン 鮭(サケ)、イクラ、エビ、カニ、タイ、一部の藻類など
リコペン トマト、スイカ、人参、柿、パパイヤ、グレープフルーツ(赤)など

ハ)フィトケミカル~硫黄化合物群

スルフォラファン ブロッコリー、菜の花、大根、カイワレ大根、キャベツなど
アリシン ニンニク、長ネギ、玉ねぎ、ニラなど

② ■ビタミン■

ビタミンA にんじん、ピーマン、ほうれん草、小松菜、キャベツ、長ネギ、昆布、青海苔、卵黄、うなぎ
ビタミンC(アスコルビン酸) レモン、じゃがいも、さつまいも、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、菜の花、柿、キウイ、アセロラ、ローズヒップ、果物全般
ビタミンE 卵黄、大豆、アーモンドなどのナッツ類、穀物胚芽、ローズヒップ、柚子、洋梨
※ビタミンAとビタミンEは脂溶性です。過剰摂取の副作用がありますのでサプリメント等で摂取する場合は摂り過ぎにご注意下さい。

③ ■ミネラル■

亜鉛 牡蠣、うなぎ、納豆、ホタテ、黒米、煮干、ゴマ、ココア、芋茎など
セレン 小麦胚芽、玄米、ぬか、玉ねぎ、ブロッコリー、ニンニク、いわし、マグロ、たらこ、筋子、かつお、鶏卵

④ ■その他■

グルタチオン アボガド、アスパラガス、ブロッコリー、ほうれん草、赤貝
コエンザイムQ10 大豆、アボガド、落花生、ほうれん草、鯖(サバ)、鰯(イワシ)
α-リポ酸 トマト、ニンジン、ブロッコリー、ほうれん草、ジャガイモ

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4. 漢方~生薬/薬草における抗酸化物質

生薬・薬草系の素材は、もともと自然の植物から採取され、実際の経験からその有用性が評価されて来たものですから、その多くはポリフェノール等を多く含み、「抗酸化物質の宝庫」となっています。
しかし残念ながら、その多くは漢方薬の成分として用いられるもので、手軽に家庭料理に使える状況ではありません。以下はご参考までにご覧下さい。
(例) サフラン、牛黄、高麗人参、黄連、黄柏、山梔子、夏枯草、連翹、忍冬、牡丹皮、甘草、芍薬、黄ごん、紫根、弟切草、田七、枸杞子、ウコン、ガジュツ、キャッツクロウ、イチョウ葉、ルイボス・・・等々

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5. 各食材の調理法・摂り方について

1)「がん細胞は低体温が大好き」と言われます。これは身体を冷やすと免疫力が低下する為です。
また冷飲食をすると胃腸機能を低下させ、せっかく摂った食品も体内に吸収されにくくなります。そこで食材に注意されるなら、併せて、加熱調理のうえ、温めて召し上がることも大切と言えます。
そもそも身体を温めること自体でも、多くの病気・不調を予防することが出来ます。
特にポリフェノール群は概して熱に強く、煮たり炒めたりしても安定していますので、安心して調理に工夫をこらしてみて下さい。
ビタミンCなど熱に弱いものもありますが、その点は意識してビタミン剤等で補うというのも一法だと思います。
 
2)特定の緑黄色野菜を多く食べるのではなく、多品種をバランスよく摂取した方が良いというのは栄養学的に良く言われることです。
一方、化学的に見た場合も、上記に列挙した成分は、単品よりもむしろ組み合わされることで補完し合い、相乗効果が期待されると報告されています。
特にビタミンCとビタミンEに様々な抗酸化物質を加えた組み合わせが活性酸素除去に効果的であると報告されています。
 
3)特にポリフェノールは効果的に働く時間が短い(摂取後3~4時間)ので、一度に沢山摂るよりは三食にまんべんなく振り分けて摂った方が効果的です。

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6. まとめ

放射線被曝が避けられない中、その健康被害を抑える食事として・・・
新鮮で色鮮やかな食材、とくに野菜類を、まんべんなく充分に摂ることが効果的と言えます。
今までもよく言われて来たことが、変わることなく原発事故の渦中にいる私達を支えてくれます。

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